三沢製麺の圧延機はすべて愛知県の豊製作所の圧延機です。
圧延工程は本当に重要で、ミキサーで捏ねた麺の生地に、その後の工程で傷が入らないよう、徹底した工夫をしています。精度を細かく調整し、圧延して手で伸ばしたような食感を生み出します。圧延工程で麺に傷が入ってしまうと、出来上がる製品としての麺の重量も変わってしまい、均一ではなくなります。何よりコシの強いもちもちとした食感を出せなくなるのです。そのために豊製作所様にお願いし、三沢製麺のこだわりにお付き合いいただき思考作の末に苦労して開発していただいた圧延機です。
45年経過しても比類なき実力を発揮し続ける圧延ロール
三沢製麺の麺を生み出している圧延ロールは炭素鋼鋼材S-C系(SC材)に分類されるS45Cを使っています。特殊な熱処理をしているため高性能・長寿命化、硬さなど付加価値も飛躍的に高まっています。
SC材とは、「Steel Carbon(炭素)」の頭文字です。正式には、「機械構造用炭素鋼鋼材(きかいこうぞうようたんそこうこうざい)」というJIS規格です。鉄や鋼といった鋼材には、炭素含有量が多いほど硬く強くなるという特徴があります。S45Cは炭素含有量が0.45%と、炭素含有量が0.2%ほどの軟鋼に比べて硬く高い強度を持っています。
この圧延ロールは製造されてから45年以上経ちますが、今現在でもこの表面の滑らかさと輝きを保っています。硬いと何が良いかと言うと、SUS304などのステンレス製の圧延ロールとの違いは表面の滑らかさで麺の味に違いを生むということと、一番は摩耗しないということです。わずかでも人体に摩耗した金属を入れさせない意図があります。もちろんこの特殊なロールの支えるベアリングも専用設計です。
もはや匠の世界へ
圧延ロールは、わずかなの勾配を設けており、真ん中が膨らんでいます。
これはあえてそうやって作られているのですが、なぜこうしているのかというと、グルテンは縦方向に伸びるだけでなく横方向にも伸びるため、ロール中央付近を通る麺の厚みが、ロールの端を通る麺に比べてわずかに厚みが増している、つまり膨らんでいることに気が付き、それを調整して均一の厚みに抑えるために特注の圧延ロールを使っているのです。